オヴェールの教会
コバルトブルーの空が印象的なこの作品は、
ゴッホの悲しみや郷愁の念が込められています。
オーヴェールの村の中世の教会堂を描いたものです。
教会堂を中心に、その脇を二手に分かれた小道は、建物を取り囲むようにして続いています。
鮮やかで、どっしりと濃いコバルトブルーの空は、建物の窓のひとつひとつにも
しっかりと映りこんでいます。
内部をうかがわせる余地のない、青い空の映る窓の下には、建物の影が濃くしっかりと
さしています。
空や影の暗さとは対照的な、地面の乾いた黄、若草のような明るい緑。
屋根の一部はオレンジに彩られ、 小道の脇では、村の女性が歩を進めています。
この女性には、なんということのない普段の村であり、
我が家に帰る際の通り道のひとつにすぎないようです。
そうではあっても、なお、画面中央ににずしりと塊として配置される教会堂から、
見るものは目をそらすことができません。
小道の行方は、教会堂によりさえぎられ、その先をうかがい知ることはできません。
この空の青さのせいで、風がそよぐ気配もなく、木々の葉がこすれあう音すら聞こえる余地もなく
ただただ真空のような、不思議な空間を作り出しています。
圧倒的な存在感の建物と青空が、壮麗に心に響く、たとえようのない一枚です。

